ネアンデルタール人、火起こしの方法を知っていた 研究
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【7月20日 AFP】旧人類ネアンデルタール(Neanderthal)人は石を打ち合わせて火花を飛ばし、火を起こす方法を知っていたとする研究論文が19日、発表された。フランスの遺跡で発見された5万年前の道具の分析に基づく研究結果だという。
ネアンデルタール人が火を使用していたことはすでに知られていた。その火をめぐっては落雷や火山噴火などの自然の原因で生じたとの見方が大半だが、彼らが火を起こす方法を実際に知っていたのではと推測する見方もある。
英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に論文を発表した研究チームが主張しているのは、この後者の方だ。「ネアンデルタール人による、習慣的で意図的な火の生成を示す初の直接的な遺物の証拠をここに提示する」と、研究チームは論文に記している。
論文の共同執筆者で、オランダ・ライデン大学(Leiden University)のマリー・ソレッシ(Marie Soressi)教授(先史学)は、AFPの取材に「ネアンデルタール人が火を起こすのに使っていた発火具を発見した」と語った。
研究チームは、フリント石(発火石)の2つの表面に複数の削れた跡がみられる先史時代の石器(両面石器)を数十個発見した。この跡は、黄鉄鉱や白鉄鉱などの鉄を含む鉱物に打ち付けるのに石器が使われた可能性があることを示唆していると考えられる。
ネアンデルタール人は、石器を黄鉄鉱に打ち付けて火花を発生させ、これを乾燥した草や葉に降りかかるように息を吹きかけて火を起こすことができたのかもしれない。
論文の主執筆者で、同じくライデン大のアンドリュー・ソレンセン(Andrew Sorensen)氏によると、石器の痕跡は自然にできたものではなく、旧石器時代後期に欧州に住んでいたネアンデルタール人が残したものであることを今回、研究チームは明らかにしたという。