【7月19日 AFP】ブルガリアの首都ソフィア郊外の小さな村ツルクバ(Tsurkva)で、96歳のストヤン・ストイメノフさんさんは硬貨を持って前かがみになり、スクラッチくじをこすっている。

「『また勝つさ』と自分に言い聞かせる。可能性はあまり高くはないが、どうなるか誰にもわからないだろう?」ストイメノフさんはそう言ってウインクした。

 ストイメノフさんは、欧州連合(EU)最貧国のブルガリアで近年、スクラッチくじに取りつかれた多数の人のうちの一人だ。一部の人々の間では現在、依存症がまん延することの危険性に対する警告の声が高まっている。

 今年2月、ストイメノフさんは、自身の年金25か月分に相当する5000レフ(約33万円)の賞金を手にした。賞金は、子や孫、ひ孫たちに分け与えた。

 5月6日のストイメノフさんの96歳の誕生日には、彼らはそのお礼にとさらなるスクラッチくじを贈った。

 ストイメノフさんが賞金を獲得した小さなカフェでは、テーブル席が仲間のギャンブラーたちで埋め尽くされている。

 反対派からは、スクラッチくじ賭博の氾濫に法律が追いついておらず、年齢制限がないため子どもでも購入できる状態になっていると批判が出ている。

 1日あたりの昼食代2レフ(約130円)でチケット1枚を買っていたデニスラフ君(10)は、「時々チケットを買っている。でも僕のクラスには、スクラッチばかりやっている男子がいる」と語った。

 2016年7月、ある専門家が政府機関からの依頼で行った、EU内で最も貧しいブルガリア北西部を対象とした調査によると、高校生の10%が毎日スクラッチくじを購入しており、週に1度購入する高校生も11%にのぼった。