「怖いのはお化けよりも…」 女子が作った妖艶なお化け屋敷が横浜に
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【7月20日 AFPBB News】ろうそくの火が、ゆらゆらと手招きをしているようだ。辺りには妖しく心地よいアロマの香り──。「美しすぎるお化け屋敷」をコンセプトに、企画から演出、衣装や小道具の制作まですべて女性だけで手掛けた期間限定のお化け屋敷が今夏、横浜市中区のエンターテインメント施設「横浜大世界(Yokohama Daisekai)」に出現する。
来館者は、夜の美術館で1枚の絵画と出合い、謎解きをしているうちにお化け屋敷「ザ・ウィッチ(The Witch)」に迷い込む設定。英語で「魔女」を意味するお化け屋敷には、中世の魔女狩りをほうふつとさせるような妖艶な世界が広がる。
暗がりに潜んだお化けが飛び出してくるのではなく、来館者が恐ろしい世界をのぞき見る仕掛けが随所に施されている。幻想的な明かりや音楽、アロマの芳香で、お化け屋敷にもかかわらず、先を急がずむしろとどまりたくなるのが不思議だ。
企画したのは、関東を中心に数々のホラーイベントを手掛け、「ホラープロデューサー」を名乗る夜住アンナ(Anna Yozumi)さん(23)を中心とした女性8人のチーム「ギミホラ」。男性が多いお化け屋敷業界にあって、女性の視点で「女の美しさと怖さ」に焦点を当て、ホラーが苦手な人に足を運んでもらえるような物語を練った。
お化け屋敷を盛り上げる役者、キャンドルアーティスト、ダンサーなど20〜30代の女性たちが、衣装の裁縫、CG、宣伝、アルバイト女性への演技指導など一人何役もこなす。
夜住さんは、物心ついたころからホラーが好きだったという。学生時代に参加した「ゾンビキャンプ」と称するサバイバルゲームが忘れられず、「作る側になりたい」と、勤めていた貿易会社を辞めた。「ゾンビキャンプは、人と人をつなぐ効果があった。ホラーは人の感情や本能をゆさぶることができる、素晴らしいエンタメです」
夜住さんと共に演出を受け持つ役者の笹本れいか(Reika Sasamoto)さん(31)は、知らずにお化け役に応募したことがホラーとの出合いという。いかに客を楽しませるかを夢中になって考えているうちに、いつの間にかホラーが好きになっていた。「生の人間の世界のほうが怖い。お化け屋敷は健全に安心して怖がることのできる場所」
確かに今回の物語には、匿名での誹謗(ひぼう)中傷や集団心理など、現代社会に通じるテーマが見え隠れしている。夜住さんは、お化け屋敷という空想の世界を創造しながら、日常に寄り添うことを心がけているという。「いつも人の心に潜むホラーを表現したい」。お化け屋敷の開催日は8月3日から9月2日まで、毎金・土・日曜日。8月10〜12日は休み。(c)AFPBB News