【7月18日 東方新報】北京警察はこのほど、虚偽の求人や、美容整形手術のローンを組ませる詐欺行為20件を検挙し、犯行に関わった疑いのある容疑者100人を逮捕した。

　李佳さん（27、仮名）は今年1月、インターネット上で「総経理補佐、月収1万2000～1万5000元（約20～25万円）、寮完備、1500元（約2万5000円）の住宅手当あり」という求人を見つけ、人事担当者に連絡を取り、面接を行うことになった。

　李さんは、指定されたホテルの会議室へ向かった。ほかにも若い女性が数多く面接に訪れていた。面接担当者は会社の幹部に当たる沈総経理と名乗る人物と人事担当者で、「明日から出勤してほしい」と言われた。

　沈総経理によると、業務内容は何社かの会社の融資を代理で行っているという。社内には総経理が数十人おり、それぞれに補佐がおり、「みな美人だ」とのこと。沈総経理は、「助理は会社の顔だから」と強調すると、李さんに、少し「微調整」してもらいたいが問題がないかと確認した。「微調整」、いわゆるプチ整形だ。

　李さんは翌日、言われるままに身分証明書を持参して入社手続きを簡単に済ませると、人事担当者に連れられ市内の病院に到着。担当者によると、「この病院と沈総経理は、協業関係にある」ということだった。

　李さんを問診した医師は、「整形プラン」として、こめかみや額などへのボトックス注射を提案、費用は合計4万元（約67万円）だと言った。人事担当者は、「先に李さんに立て替えてもらうことになるが、最終的には全額会社から李さんの銀行に振り込まれる」と説明した。

　だが、李さんが4万元を準備することも難しいと言うと、「二亮」という人物が現れ、李さんにローンを紹介。人事担当者が、会社がローンを返済するから心配ないと言うので李さんは借用書にサインした。

　数日後に李さんは整形手術を受け、三日間入院。退院時に、病院から領収証などを受け取ることができなかったという。約10日後、手術のあざが引かない顔のまま出社すると、沈総経理から、彼が会社から無給休暇を言い渡されたため、李さんの入社の話はなかったことになったと聞かされた。

　沈総経理は李さんに、姚総経理という別の総経理を紹介した。姚総経理は、「私の下で働けば月収10万（約170万円）は稼げる。でも君にはオープンになってもらわなければならない。顧客に体の関係を求められれば、応じなければならない」と言うので、李さんはそれを拒否。採用の話はすっかり白紙に戻ってしまった。

　李さんと同じような手口の被害に遭ったという通報が相次ぎ、北京警察は会社が病院と共謀し、求人を装って女性をだます詐欺の捜査に踏み切った。

　北京警察は近年、「詐欺グループはさまざまな手口を考え、新しいわなをあの手この手で仕掛けてくる。インターネット上で仕事を探す場合、求職者は慎重に冷静に判断するように心がけ、非現実的な報酬や、整形を前提とするなど採用前の条件がある場合は警戒し、詐欺に遭わないようにしてほしい」と呼びかけている。(c)東方新報/AFPBB News