キューバの改憲草案、外国資本の財産所有容認など盛り込む
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【7月15日 AFP】社会主義国キューバが大掛かりな憲法改正を計画している。市場経済や財産の私的所有、外国資本の財産権を容認する一方で、政治権限を大統領と首相で分ける制度を復活させる方針も示しており、改憲は近く承認されるものとみられている。
14日付のキューバ共産党機関紙グランマ(Granma)が伝えた改憲草案の中身によると、基本的な生産手段が引き続き中央政府の管理下に置かれる一方、外国投資は経済発展に拍車をかける上で重要であると認められる。ただ、共産党は今後も「社会と国家の最高のけん引力」を維持するという。
また1976年の憲法制定以前の制度を復活させ、実質的な政府である閣僚評議会を首相の監督下に置く。ただ、首相の具体的な役割や選任方法などは明らかにされていない。
憲法改正草案はすでに共産党が承認しており、人民権力全国会議(国会)に今後提出される予定。来週末の採決を経た後に国民投票にかけられ、最終承認される見込みとなっている。
キューバではフィデル・カストロ(Fidel Castro)氏と弟のラウル・カストロ(Raul Castro)氏に次いで国家元首となったミゲル・ディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)国家評議会議長(58)が就任3カ月目を迎えたばかり。新憲法が承認されるとディアスカネル氏は任期5年の大統領職の座に就くことになり、再選は1回のみに制限される。
さらに当局は実質的に中断していた民間部門で労働に従事することへの許可を再開する一方で、民間部門への規制も強化する。主に飲食店やタクシー、建設部門や不動産賃貸が影響を受けるものとみられる。
キューバ国内の民間部門は小規模ながら活況を呈しており、労働人口の13%あまりを雇用している。また、新たに導入される規制では納税のためのみならず、資材の調達が合法的に行われているかどうかを調査するため、経営者らに対して銀行口座の利用を義務付ける。
さらに個人による富の蓄積を避けるため、事業免許を1人当たり1件に限定。こうした一連の計画により、旧ソビエト連邦に倣ったキューバの経済モデルを「刷新」するという。(c)AFP