エリトリア大統領がエチオピアを歴史的訪問、大使館再開へ
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【7月15日 AFP】エリトリアのイサイアス・アフウェルキ(Isaias Afwerki)大統領は14日、エチオピアの首都アディスアベバを訪問し、両国間の争いを解決すると誓った。この歴史的な訪問は、5日前の今月9日に両国が調印したばかりの「平和友好共同宣言」を受け、平和への道を固めるためのもの。
9日には両国の長年にわたる対立と紛争に終止符を打つための和平プロセスの一環として、エチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相がエリトリアを訪問していた。エチオピアの政府系ニュースメディア、ファナ放送会社(FBC)によると、イサイアス大統領は3日間のエチオピア訪問中に、在エチオピア・エリトリア大使館を再開する意向も示した。
エリトリアはかつてエチオピアの一部だったが、長年にわたる闘争の末、1993年に住民投票を経て独立した。エリトリアの独立により、エチオピアは紅海(Red Sea)の海岸線すべてを失い内陸国となった。このため1998年に国境をめぐる両国の紛争が発生すると、エチオピアは対外貿易ルートのジブチへの変更を余儀なくされた。この国境紛争では、2000年の停戦までに8万人が死亡。その後は冷戦状態に突入し、関係改善の兆しはほとんどみられなかった。
専門家はこの電撃和解について、4月にアビー氏が首相に就任したからこそ実現したと指摘している。
エリトリアもエチオピアも、アフリカの最貧国に属しているが、エチオピアは近年、2桁の経済成長を遂げている。このため輸出入ルートの拡大を模索し、ソマリアやエリトリアの港に目を付けていた。一方、世界で最も孤立した国の一つであるエリトリアは、国連(UN)が奴隷制になぞらえる強制徴募などの政策をとってきた。このため投資家は離れ、経済は弱体化していた。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は14日、新たに平和を手にしたエリトリアは、自身の見解を表明しただけの人権活動家や野党の政治家が拘束され、獄中で苦しんでいる状況の改善を加速しなければならないと述べた。 アムネスティは、強制徴募の中止も求めた。強制徴募は、大勢の国民がエリトリアから他国に逃れる主要因とみられている。(c)AFP/Chris STEIN