【7月14日 AFP】フィリピンの伝説的ボクサーであるマニー・パッキャオ(Manny Pacquiao)は14日、ルーカス・マティセ(Lucas Matthysse、アルゼンチン)とのWBA世界ウエルター級タイトルマッチを控え、前日計量に臨んだ。15日にマレーシアの首都クアラルンプールで行われる12ラウンドの注目の一戦を前に、両者が臨んだ最後のフェースオフでは、全身タトゥーの世界王者マティセが、わずか1インチ(約2.5センチ)高い身長を誇示してパッキャオを見下ろしていた。

 会場が騒然とした雰囲気に包まれる中で行われた計量で、23年間の輝かしいキャリアにおいて前人未到の8階級制覇を成し遂げた39歳のパッキャオは、リミットの147ポンド(約67キロ)を余裕で下回る146ポンド(約66.2キロ)でパスした。対するマティセは、ほぼリミットの146.7ポンド(約66.5キロ)で相手の体重を上回った。

 母国の英雄パッキャオを目当てに、主にフィリピンから来た数百人のファンが2人の姿を一目見ようとステージに押し寄せる中、両ファイターはお決まりの向かい合わせのポーズをとり、短い握手を交わした後に会場を去った。ファンがセルフィーを撮ろうとして押し合った際には、混乱が収まる前に転倒が起きることを恐れた主催者が、即座にステージから退去するように促していた。

 15日のタイトルマッチで「ザ・マシン(The Machine)」ことマティセに挑戦するパッキャオは、この一戦に敗れれば偉大なボクサーとしてのキャリアに幕を下ろすことになるのを認識している。1年前にオーストラリアのジェフ・ホーン(Jeff Horn)に判定負けを喫した後、パッキャオは友人や家族、そして殿堂入りした元トレーナーのフレディ・ローチ(Freddie Roach)氏からも引退を勧告されていた。

 クアラルンプールのアシアタ・アリーナ(Axiata Arena)で行われるアルゼンチンの強敵との一戦で、ホーン戦に続く連敗を喫すれば、母国で「国家の拳(national fist)」と称されるパッキャオは、永久にグローブを置くことになる可能性がある。しかし、通算59勝(38KO)7敗2分のパッキャオが勝利すれば、5度目のウエルター級王者に上り詰め、今年12月に40歳の誕生日を過ぎても、リングにおける伝説とボクシング人生がさらに続くことになる。

 1995年のプロ転向以降、通算60勝目を目指しているパッキャオだが、47戦目までに38回を記録していたKO勝ちも、ここ9年間は遠ざかっている。一方、KOのスペシャリストであるマティセは、キャリア39勝のうち36戦でKO勝利を挙げており、今年1月にタイのテワ・キラム(Tewa Kiram)に勝利し、空位となっていたWBAのベルトを手にした。

 パッキャオは「準備はできている。任せてくれ。やる気に満ちていて、楽しいし、飢えている」とコメントした。

 一方でマティセはAFPに対し「気分は上々だね。減量もこなしたし、すぐにでも食事できる。明日の対戦に向けて準備は整った」と語った。(c)AFP/Daniel HICKS