【7月11日 AFP】(更新)ベルギーの首都ブリュッセルで北大西洋条約機構(NATO)のトップと会談に臨んだドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は11日、ドイツがロシアとの「不適切な」ガス取引で「捕らわれの身」になっていると発言し、ドイツを痛烈に批判した。

 トランプ大統領はイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)NATO事務総長との朝食会の冒頭、儀礼的なものにするという慣行を破り、ドイツをはじめとする加盟国が費用を負担していないと激しく非難。

 トランプ大統領は、ロシアからドイツに天然ガスを供給するパイプライン計画「ノルド・ストリーム2(Nord Stream II)」に言及し、「ドイツはロシアによる捕らわれの身となっている。膨大なエネルギーをロシアから得ているからだ」と発言。

 続けて「世界中の誰もが、このことについて話している。われわれがドイツを守るために数十億ドルも払っているというのに、ドイツは数十億ドルをロシアに支払っていると」「ドイツはロシアに完全に支配されている」と語った。

 トランプ大統領はさらにNATOに対し、主に不十分な費用負担の点で批判を展開。

「われわれはドイツやフランス、皆を守ってきた」「この状況は数十年間にわたり続いている」と述べ、「こんなこと、こんな不適なことに我慢していくつもりはない」と明らかにした。

 その一方、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は一連の非難に対し、ドイツは「独立して決断」を下していると反論した。

 共産圏の旧東ドイツで育ったメルケル首相は、緊張感が漂うNATO首脳会議の会場に到着すると、「私自身もドイツの一部がソビエト連邦に支配されるという経験をしている」と語り、「今日、ドイツ連邦共和国として自由の下に統合し、その結果として、われわれ自身が独立して政策をつくり出し、われわれ自身で独立して決断を下すことができることがとてもうれしい」と述べた。(c)AFP