【7月10日 AFP】獄中でノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞して昨年7月に死亡した中国の民主活動家、劉暁波(Liu Xiaobo)氏の妻の劉霞(Liu Xia)氏が10日、飛行機で中国を出国した。近しい友人の野渡(Ye Du)氏によると、劉霞氏は10日の午前11時頃、フィンランド航空(Finnair)の旅客機で中国を離れたという。

 劉霞氏は、中国当局が反発していた夫のノーベル平和賞受賞を機に、何の罪も問われないまま2010年から事実上の自宅軟禁状態に置かれた。中国当局は劉霞氏は自由の身だと主張していたが、実際は劉霞氏は夫の死後も日常生活を制限されて監視下に置かれ続け、精神状態の悪化が懸念されていた。

 5月にはポール・オースター(Paul Auster)氏やマイケル・シェイボン(Michael Chabon)氏、カーレド・ホッセイニ(Khaled Hosseini)氏ら世界の著名文芸家や芸術家らが、劉霞氏を解放して国外で治療を受けさせるよう中国当局に求めている。

 劉霞氏の夫だった劉暁波氏は1989年に起きた天安門事件の指導者的存在の1人。2008年に国家政権転覆罪で禁錮11年を言い渡され、服役中の2017年にがんで死亡した。ナチス・ドイツ(Nazi)時代以降に獄中で死亡したノーベル賞受賞者は劉暁波氏が初めて。(c)AFP