【7月10日 AFP】オゾン層破壊物質として国際的な規制の対象になっているクロロフルオロカーボン(CFC、フロン)類が現在も中国の工場で違法に使用されているとする報告書を、環境圧力団体が9日、発表した。CFC類については、その放出が増加していることが最近の研究で明らかになり、科学者らを困惑させていた。

 英ロンドンの非政府組織(NGO)「環境捜査局(EIA)」は今回、調査対象とした中国10省にある工場18か所で、禁止されているCFC類の使用が判明したことを明らかにした。

 バイヤーを装ったEIAの調査員に対して生産業者や貿易業者が話したところによると、発泡材を製造している中国の企業の大半では、より良質で安価なトリクロロフルオロメタン(CFC-11)の使用が続いているという。発泡材は建設部門の活況で断熱材としての需要が高まっている。

 CFC類はオゾン層を減少させる化学物質。オゾン層は危険な太陽光線から地球上の生命を保護する薄いガス状の層だ。

 CFC類は1987年に採択された国際的に拘束力のある「モントリオール議定書(Montreal Protocol)」の下で使用が禁止され、発展途上国でのCFC類の生産は2010年に正式に中止された。中国当局はこれまで、CFC類を使用する産業慣習を2007年に廃止することに成功したと発表していた。

 AFPの取材に対し、中国外務省は9日、中国はモントリオール議定書の目標達成に「多大な貢献」をしてきたと語った。

 外務省はまた、「CFC-11排出濃度の上昇は地球規模の問題であり、関係各国すべてが真剣に受け止めるべきだ」とファックスでコメント。EIAの報告書が提起した具体的な主張に対する反応は何も示さず、「中国もまたモントリオール議定書の批准国として、国際社会と同様に、この問題について大いに懸念している」と述べた。