ロシア年金支給8歳引き上げ、「再就職難民」の中高年女性らが怒りの声
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【7月13日 AFP】ロシア政府が年金支給開始年齢の引き上げ計画を発表したことで怒りの声が広がっている。ロシア国民が政策に対してこうした反応を示すのはあまり例がない。中でも特に、この年金改革によって苦労を強いられることになると主張しているのが、就職難にあえぐ年代の女性たちだ。
W杯ロシア大会(2018 World Cup)初日の6月14日、ドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相は、女性の年金支給開始年齢を63歳、男性は65歳とする計画を発表した。男性は5歳の引き上げ、女性は8歳もの引き上げとなる。
ロシア人男性の平均寿命は66歳で、年金を受け取る前に多くの人が亡くなってしまうかもしれないとの批判も直ちに起きたが、女性たちは別の理由で怒っている。年金を受け取れるまでやり繰りするために職探しをしても、中年期になると極端に仕事が見つからなくなるのだ。
「年金も受け取れず無職になることを女性たちは不安に思っています」と、モスクワ在住のタチアナ・ボロチコワ(Tatiana Volochkova)さん(57)は話した。既に1万7000ルーブル(約3万円)の国民年金は受け取っているが、経理の仕事を続けている。
多くの女性は、定年を迎える年代に年金支給開始を8年も引き上げるのはバランスを欠いていると憤る。
バレンティーナ・ゾルキナ(Valentina Zholkina)さん(44)はモスクワで2年間、職探しを続けてきたが今も仕事は見つかっていない。以前勤めていた会社は産休中に閉業した。どこの雇用主もゾルキナさんの年齢を知ると、いい顔をしないという。
「表立っては言われませんが、一定の年齢を過ぎた女性は、銀行窓口を担当するにはふさわしくないと、ほのめかされるんです」
年配の男性なら、お金に困れば短期の肉体労働もできるが、それが女性となると、低賃金の仕事ですらなかなか雇ってもらえない。55歳での年金受給は、少なくとも中高年女性たちに対するセーフティーネットにはなっていたとゾルキナさんは話す。