【7月9日 CNS】「去年の夏、村の幹部が村近くの太陽光発電区で放牧をしてもいいと教えてくれた。以前ここは砂地だったのに、今じゃ一面の緑だ。うちの羊たちも喜んでいる」

 青海省(Qinghai)海南チベット族自治州(Hainan Tibetan Autonomous Prefecture)で羊を飼う馬生興さんは嬉しそうに話す。

 馬さんの言う「砂地」とは、同自治州共和県(Gonghe)にある塔拉灘(Talatan)。辺り一面、ソーラーパネルの青い「海」が広がり、かつて砂地だった場所は少なくなった。ソーラーパネルの下には牧草がうっそうと茂り、羊の群れが草を食んでいる。時折、野生のウサギやキツネが見え隠れしている。

 太陽光発電区の建設に携わった国家電力投資集団(SPIC)黄河上游水電開発会社(Huanghe Hydropower Development)の資料によると、共和県は風と砂ぼこりの被害が最も激しい地域の一つ。総面積は約30ヘクタール。近年、地球温暖化などの影響により、毎年0.12ヘクタールの速度で砂漠化が進んでおり、同県の砂漠化した面積は6.7ヘクタールにまで達していた。龍羊峡ダム(Longyangxia Dam)に流れ込む流砂は毎年3131万立方メートルに上り、これに伴う毎年の経済損失は、約4600万元(約7億6550万円)に上っていた。

 黄河上游水電開発の謝小平董事長によると、2011年から同社を含めた40社以上の太陽光発電会社が3350メガワット分の発電所に投資してきた。太陽光発電所は共和県に経済収益をもたらすだけでなく、環境の改善にもつながっている。

 黄河上游水電開発は、同県の太陽光発電所に砂漠の緑化のために強い植物を植樹し、現在では村民らと共同で2000頭の羊を飼うまでになった。村民たちはその羊を「ソーラー羊」と呼んでいる。(c)CNS/JCM/AFPBB News