【7月9日 AFP】アフリカ東部エチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相は8日、国境線をめぐって20年にわたり対立してきた隣国エリトリアの首都アスマラを訪問してイサイアス・アフウェルキ(Isaias Afwerki)大統領と会談し、国交を正常化すると表明した。

 4月に就任したアビー首相は、改革路線を推進。国境紛争については6月、きっかけとなった村バドメ(Badme)のエリトリア帰属を認めた2002年の常設仲裁裁判所・国境画定委員会の決定に従う方針を明らかにしていた。

 アビー首相はイサイアス大統領との夕食会で、「両国間を結ぶ航空便の運航を開始し、港を開放し、両国民の行き来を可能にし、大使館を開設することでわれわれは合意した」と発表。「壁を壊し、愛をもって両国間に橋をかける」と述べた。

「アフリカの角(Horn of Africa)」と呼ばれるアフリカ最東北端部に位置するエチオピアとエリトリアの間では、1998年に国境紛争が発生し、2000年までに8万人が死亡した。その後もエチオピアは国連(UN)の仲介で定められた国境線に反発し、対立が続いていた。

 突然の和解表明は、両国を傷つけた長い冷戦状態の終結を意味する。かつてエチオピアの一部だったエリトリアは武装闘争の末、1993年に独立。内陸国となったエチオピアはこれまで海洋貿易をジブチに依存してきた。エリトリアの港が利用できるようになれば、アフリカ第2位の人口を誇るエチオピアとエリトリア両国の経済発展につながるだけでなく、ジブチ一強状態へのけん制にもなる。(c)AFP/ Chris Stein