【7月9日 AFP】英国のデービッド・デービス（David Davis）欧州連合（EU）離脱担当相（69）が8日、辞任した。テリーザ・メイ（Theresa May）首相が、離脱後もEUと強固な経済関係を保持する柔軟路線で党内をまとめようとしていることに反発したとみられる。

「政策の方針は良く言っても交渉で英国を弱い立場に置くものだ。それは避けられないだろう」。デービス氏はメイ氏に宛てた書簡でそう批判した。英メディアによると、離脱担当省のスティーブ・ベーカー（Steve Baker）政務官も辞任した。

　メイ内閣は6日、離脱後もEUと強固な経済関係を保持する計画を承認。今月から欧州委員会（European Commission）との新たな交渉に臨むに当たり、与党・保守党内で強硬派の支持を取り付けようとしていただけに、デービス氏らの辞任は大きな痛手となりそうだ。

　長年EU懐疑派だったデービス氏は2年前、歴史的な国民投票で英国のEU離脱が決まったことを受けてEU離脱担当相に任命された。「ブレグジット（Brexit）、英のEU離脱」の顔としてEUとの交渉団を率いていたが、最近ではメイ首相とその側近らが重要な交渉を担うようになり、デービス氏の影は薄くなっていた。

　報道によるとデービス氏はこれまでも、英国の交渉姿勢に断固さが欠けるとして何度か辞任も辞さないと警告していたが、表向きはメイ氏への堅い忠誠を示してきたという。(c)AFP