【7月5日 AFP】中国の複合企業、海航集団(HNA Group)の共同創業者で会長の王健(Wang Jian)氏(57)が、南仏プロバンス(Provence)地方を観光中に転落死した。警察と海航集団が4日、発表した。

 現地の治安筋がAFPに明らかにしたところによると、王会長は3日、丘陵にある風光明媚な村ボニユー(Bonnieux)で、渓谷の景色を眺めるためか写真を撮るために胸壁によじ登った後、そこから転落して死亡した。

 関係筋は匿名を条件に「彼は自力で胸壁に飛び乗った」とAFPに語った。

 王氏は10メートルの割れ目に落下し、救急隊が現場で治療できないレベルの重傷を負った。

 海航集団によると、王氏はフランス出張の合間にボニユーを訪れていたという。

 海航集団は中国の海南(Hainan)省で地元の航空会社として創業。王氏とビジネスパートナーの陳峰(Chen Feng)氏のリーダーシップの下で近年、急速に事業を拡大。米ホテルチェーン大手のヒルトン・ワールドワイド(Hilton Worldwide)やドイツ銀行(Deutsche Bank)などの外国企業の株式を購入し、観光や金融などに事業を多角化してきた。足元では2300億ドル(約25兆円)相当の資産を保有する。

 しかし中国政府が昨年、同社の事業拡大を可能にしてきた高リスクで債務依存の資金調達の取り締まりに乗り出したことで、一転窮地に立たされた。

 海航集団は借り入れ返済のために資産の一部売却を始めているが、ナンバー2である王氏の突然の死により、こうした調整プロセスが困難になるものとみられている。

 米経済誌フォーブス(Forbes)によると、王氏の個人資産は推定で17億ドル(約1880億円)に上る。(c)AFP/Julie Pacorel with Ryan McMorrow in Beijing