プラスチックごみとの闘い、ストローが主役に
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【7月5日 AFP】カクテルを作るバーテンダーやスムージー好き、ファストフード愛好者にとって、プラスチック製のストローは何十年も必需品だった。だが、そのような状況は、環境保護運動のおかげで変わり始めているのかもしれない。
活動家の働き掛けにより、欧州連合(EU)、英国、インド、そしてマクドナルド(McDonald's)などのファストフード大手でさえ、プラスチック製ストローの使用をやめる取り組みを始めている。特に欧州では、使い捨てプラスチック製品の使用禁止を求める世論の声が高まっており、製造業者たちはプレッシャーを感じている。
米科学誌サイエンス(Science)によると、世界の海洋に廃棄されるプラスチック類は毎年800万トンに上る。1秒ごとに換算すると250キロだ。
何年もの間、環境保護活動家らはプラスチック袋に焦点を当てて来た。だが、主にインターネットで広がった写真がきっかけで、今やプラスチック製のストローが注目されるようになった。
コスタリカの沖合で、ウミガメの鼻からプラスチック製のストローを引っ張り出している動画は、一見無害なストローがウミガメにもたらした脅威を捉えていた。
英政府は4月、ストローを含む使い捨てプラスチック製品の販売を禁止する方針を発表した。EUも5月末に使い捨てプラスチック製品を禁止する提案を行った。企業も対策を取り始めている。マクドナルドは英国とアイルランドの店舗で、2019年までに紙製ストローに完全に移行すると表明した。
プラスチック製ストローには代替品があるが、値段がかなり高い。モナコの5つ星ホテル、モンテカルロ・パレス(Monte Carlo Palace)では、生分解可能なストローを導入している。ゆでる前のパスタや竹をストロー替わりに使っているところもある。
米国はこうした変化に抵抗しているが、欧州は化石燃料由来またはジャガイモやトウモロコシのような穀物由来の生分解性プラスチックを使用するなど変化をけん引している。
業界団体ヨーロピアン・バイオプラスチックス(European Bioplastics)によると、2017年の生分解性プラスチックの世界全体の生産能力は80万トンに拡大した。
欧州のストロー製造大手、仏ソワイエ(Soyez)では、どのように変化に対応していくかまだ定まっていないという。「新しい問題ではないが、深刻な問題だ。我々が代用品を探さなければいけないことは明らかだ」と、取締役のピエール・ソワイエ(Pierre Soyez)氏は述べた。「何か月もこの問題に取り組んでいる」が、突然変えようとするのは「非常に困難だ」と言う。
一方、専門家らは、生分解性プラスチックは奇跡の解決策とはならない可能性があると警告する。「生分解性とは、自然に何も廃棄されないという意味だと人々は考えている。だが、それは事実と異なる」と、フランスの環境・エネルギー管理庁(French Environment and Energy Management Agency)の技術者、ビルジニー・ル・ラバレック(Virginie Le Ravalec)氏は述べている。
また生分解性製品へ移行して効果を得るためには、廃棄物の分離収集システムを確立しなければならないが、これには政府による何百万ドルもの投資が必要となるだろう。(c)AFP/ Pierre Donadieu and Marie Heuclin