【7月3日 AFP】イスラエルがイランの上空から雲を「盗み」、雨を降らせないようにしている──。干ばつにあえぐイランで軍事組織の幹部がそんな見方を示したが、気象当局からは「気象学の知見では不可能」とあっさり否定された。イラン学生通信(ISNA)が2日、伝えた。

 イラン民間防衛組織を率いるゴラム・レザ・ジャラリ(Gholam Reza Jalali)司令官(准将)は、記者会見で「イランの気候変動には疑わしいところがある」と指摘。その上で「外国による干渉が気候変動の要因になっている疑いがある」とし、イランの科学研究もこうした見方を裏づけていると主張した。

 具体的な「外国」としてイスラエルを名指しし、「イスラエルと域内のもう一つの国が協力して合同チームをつくり、イラン上空に入ってくる雲が雨が降らないようにしている」と非難した。

 ジャラリ氏はさらに、アフガニスタンから地中海にかけての標高2200メートル以上の山々はどこも雪が積もっているのに、イランの山だけそうではないという調査を引き合いに出し、「イランは雲や雪を盗まれるという問題も抱えている」との見解を示した。

 これに対し、イラン気象庁のアハド・ヴァジフェ(Ahad Vazife)長官は「おそらくジャラリ氏は私の知らない文書を持っているのだろうが、気象学の知見に基づいて言えば、どこかの国が雲や雪を盗むなどというのは不可能だ」と疑問を呈した。

 「イランは長引く干ばつに苦しんでいるが、これは世界的な現象であって、イランだけの問題ではない」とも指摘した。

 イランでは2011年にも、当時のマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領が、欧米諸国がイランに「干ばつを引き起こす」計画を立てていると主張。「欧州諸国は特別な装置を使って欧州大陸に雨を降らせている」と訴えている。(c)AFP