「事故死」女性、遺体安置所の冷蔵室で生存確認 南ア
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【7月3日 AFP】悲惨な自動車事故に遭遇した南アフリカの女性が、救急隊に死亡と判断された後、収容された遺体安置所の冷蔵室で生きている状態で発見された。救急搬送サービス会社が2日、明らかにした。
救急搬送サービスのディストレス・アラート(Distress Alert)は、6月24日早朝に南ア・ヨハネスブルク(Johannesburg)南西のカールトンビル(Carletonville)郊外で発生した玉突き事故の現場で、この女性が救急隊によって死亡と判断されたことを認めた。女性の名前は明らかにされていない。
この事故では車両が横転し、乗っていた3人全員が車外に投げ出され、2人が死亡した。事故発生から数時間後、遺体安置用の冷蔵室に入れられた女性が生きているのを、安置所の検視官らが発見した。
ディストレス・アラートの業務責任者、ゲリット・ブラドニック(Gerrit Bradnick)氏は、AFPの取材に「救急隊は所定の手順に従って対応した。どうしてこういうことが起きたのか、まったく分からない」と語った。
「担当した救急隊員らは完全に憔悴(しょうすい)してしまっている。われわれの業務は生きている人の死亡を宣告することではなく、生存させ続けることなのだ」
女性は遺体安置所で生存が確認された後、カールトンビルの病院に搬送された。ブラドニック氏によると、事故現場で初期対応に当たった救急隊が手当てした際には、女性に生命兆候が認められなかったという。
「呼吸、脈拍など、必要なチェックはすべて実施した上で、この患者が死亡したと判断した」と、ブラドニック氏は述べた。
ディストレス・アラートは現在、社内調査を行っている。
一方で、カールトンビルの遺体安置所の情報筋は、地元紙ソウェタン(Sowetan)に「救急隊は死亡判定の訓練を受けているが、われわれは受けていない」と語っている。
「冷蔵室を開けて、中の誰かが生きているのを発見するなんて夢にも思わないことだ。検視解剖を始めて彼女を殺してしまったら、どうなっていたことか」 (c)AFP