【7月1日 AFP】欧州連合(EU)首脳会談で地中海を渡って欧州に向かう移民・難民を阻止する合意が結ばれたことを受けて、リビアの元国軍将校の実力者ハリファ・ハフタル(Khalifa Haftar)氏が率いる民兵組織「リビア国民軍(LNA)」は6月29日、移民・難民を阻止する名目でリビア南部に外国軍を駐留させることは一切認めないと発表した。

 欧州首脳は、移民・難民が人身売買業者の船でEUに向かうのを阻止するためEU域外――最有力候補は北アフリカ――への「入域管理施設」の設置を検討することで合意した。リビアは、長年にわたって独裁体制を敷いてきたムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐が2011年に失脚し殺害された後の混乱に乗じた違法入国援助業者らによって、移民・難民の一大拠点と化している。

 ハフタル氏は国連(UN)が支援する首都トリポリのリビア統一政府(国民合意政府、GNA)の正統性を認めておらず、対抗勢力が東部に設立した政府を支持している。

 LNAは「不法移民の阻止という名目で外国勢力がリビア南部に軍を配備する」試みは一切認めず、「LNA司令部は、こうした外国勢力によるこの種のあらゆる(軍の)配備を重大な国際法違反かつリビアに対する許し難い主権侵害とみなすと警告する」と発表。さらに「リビアおよびその国境を防衛するために必要なあらゆる措置」を取ると表明したが、詳細は明らかにしなかった。

 GNAのアフメド・マイティーク(Ahmed Maiteeq)副大統領は6月25日、GNAはリビア国内への移民・難民施設の設置について「断固拒否する」と述べていた。マイティーク氏のこの発言は、イタリアの極右政党を率いるマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)内相のトリポリ訪問中に出たもの。サルビーニ氏はこの訪問中、「欧州に向かう移民・難民の阻止」および「リビアを支援する」手段として、「リビア南部外縁」への入域管理施設の設置を求めていた。(c)AFP