【7月1日 AFP】シリア南部ダルアー(Daraa)県で6月30日、反体制派が支配していた少なくとも8つの町が、ロシアが仲介した交渉によって政権側に明け渡された。英国に拠点を置くNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」が明らかにした。

 ロシアが支援しているシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権軍は6月19日から、隣国ヨルダンとイスラエル占領地のゴラン高原(Golan Heights)に接する戦略的に重要なシリア南部を奪還すべく、この地域に激しい空爆を行う一方で降伏を呼び掛けている。

 シリア人権監視団によると、一連の攻撃によってダルアー県内で政権側の支配下にある地域は同県の面積の30%程度から6月30日現在で50%を超える水準にまで拡大した。同監視団のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表は、それぞれの町でロシア軍高官、地元有力者、残存している反体制勢力の間で交渉が行われた結果、同県内の8つの町が政権側に明け渡されたと述べた。

 シリア政権側は国内各地で激しい空爆と地上戦を行い、反体制派支配地域を奪還している。「和解」と呼ばれているダルアー県での一連の協定は国内各地で結ばれている同様の協定の最新のものだ。政権側が押しつけるこれらの協定は、反体制派戦闘員に重火器を引き渡させ、退去を望む者はバスでシリア北部の反体制派支配地域に向かわせるという内容のものが多い。

 政権軍は30日もダルアー県内の別の場所への空爆を続け、少なくとも15人の民間人が犠牲になった。(c)AFP