【6月30日 AFP】近年、人権団体から批判を受けていた顔認証システムが28日に米メリーランド州の州都アナポリス(Annapolis)で発生した銃撃事件の容疑者の特定に役立っていたことが明らかになった。

 警察によると、逮捕歴のあるジャロッド・ラモス(Jarrod Ramos)容疑者は、日刊紙キャピタル・ガゼット(Capital Gazette)の編集室を銃撃し5人を殺害した後、身柄を拘束されたが、捜査への協力を拒み、指紋からもすぐには身元を割り出せなかった。

 同州アナランデル(Anne Arundel)郡の警察本部長ティモシー・アルトメア(Timothy Altomare)氏は、顔認証システムがなければ容疑者の特定にもっと時間がかかり、捜査を先に進めることもできなかっただろうと述べ、「われわれにとっても、アナランデル郡の住民にとっても大きな成果だった」と主張している。

 顔認証は警察や国境警備隊などの法執行機関、商業目的でも利用されているが、人権活動家らは、データベースの管理が不十分であるため、個人情報が流出する危険があると警鐘を鳴らしている。

 米ジョージタウン大学プライバシー&テクノロジーセンター(Georgetown University Center on Privacy & Technology)が発表した2016年の報告書によれば、メリーランド州公安局の顔認証データベースは2011年以降、一度も監査を受けたことがない。

 同報告書によれば、このデータベースには約700万人分の運転免許証用の顔写真と、「犯罪者」として特定されている300万人の顔写真が保管されており、さらに連邦捜査局(FBI)が管理する2490万人分の犯罪容疑者の顔写真も検索可能となっている。

 顔認証はスマートフォン「iPhone X(アイフォーン・テン)」のロック解除機能や、「スマイル・トゥ・ペイ(smile to pay)」などの決済技術にも組み込まれている。