【6月29日 CNS】中国の配車サービス「滴滴出行(Didi Chuxing)」は27日、オーストラリアのメルボルン(Melbourne)でオンラインサービスを開始し、1か月近く研修を積んできた現地の運転手たちも始動した。

 滴滴の国外版アプリは英語、スペイン語と日本語の3種類あり、運転手と乗客とのコミュニケーションツールとして、翻訳機能がついている。

 豪州の大都市では、すでにウーバー(Uber)が何年も前からサービスを開始している。滴滴は、今年5月末に試験営業を始めた。地元の生活関連メディアは、滴滴の安全サービスと今後のプランについて報道した。

 人口450万人のメルボルンは、滴滴の世界戦略にとって、戦略的意義がある。豪は、ブラジル、メキシコに次いで同社が進出した3番目の海外市場で、初めての英語圏だ。

 滴滴豪州(Didi Mobility (Australia))の葉祝良(Ye Zhuliang)総経理は、「豪州のユーザーの需要は多様化している。ビジネス環境は友好的で包容力に富み、長期的な投資と発展を望んでいる。ライドシェアの利用者は、滴滴がユーザー体験と安全性をどこまで重要視するかを見ている。競争は良い製品とサービスをもたらし、利用者がこうした好循環の恩恵を受ける」と語っている。

 今年に入り、滴滴の国際化の歩みは加速した。1月にブラジル「99」の買収を発表、2月には香港と台湾でタクシー業務を開始し、日本では合弁会社を作りタクシー市場に打って出ると宣言。4月にはメキシコ、そして5月は豪へという具合だ。

 滴滴の柳青(Liu Qing)総裁は、「電子商取引やSNSと異なり、交通は現地化が非常に重要だ。ありのままの人と人との関係が、道路や自動車に直接関係してくる」と語る。

 自家用車と、公共の交通機関をどのようにつなげるか、これまで話題に上ることはほとんど無かったが、豪メディアは、滴滴のスマート化交通に興味を寄せている。

 特に、北京(Beijing)や上海(Shanghai)、深セン(Shenzhen)など約100都市で行われている「公共交通機関+タクシー+自転車」をつなぐ滴滴のサービスが紹介された。利用者は、出発地点と目的地を入力すれば、実際の交通状況に基づいた最適なルートを知ることができる。

 滴滴の創始者の程維(Cheng Wei)CEOは、先ごろ英BBCのインタビューの中で「国境を越え、世界最大の複合的プラットフォームでかつ自動車事業者プラットフォームとなることを目指している。世界中の都市で、顧客ニーズを吸い上げ、最高の自動車サービスを提供し、最終的にはスマート交通とライドシェア事業のネットワークを築き上げたい」と語る。

 滴滴の挑戦は始まったばかりだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News