【7月2日 東方新報】中国の火鍋料理の有名チェーン店「海底撈(Haidilao)」の北京市(Beijing)勁松店で火鍋を食べていた呉さんは、そろそろ食べ終わるというところで自分のおわんのゴマだれの中にハエを見つけてしまった。

「何度も浸けていたから、ハエも粉々になりかけていた。気持ちが悪くなり、吐きそうになった」と呉さん。店員を呼ぶと、店員は呉さんに謝り、おわんを下げようとしたところを呉さんが制し、証拠として写真を撮った。

 次いで、店のマネジャーが呉さんに謝罪に来た。もう一度新しい料理を持ってくるとの申し出だったが、呉さんはすでにほとんど食べ終えており、吐き気すらしていたため断った。しかし店側は、呉さんたちを客のまばらなエリアのテーブルに連れて行き、フルーツを振舞ったり、この日の会計を無料にしたり、サービス券まで準備した。呉さんは「断ろうと思ったが、店側が謝罪しているのだから許そうと思った。もらった物も別に受け取るつもりはなかったが、店側がどうしてもと勧めてきた」と振り返る。

 ここまでで問題は解決したかに思えたが、呉さんが店を出ようとした時、マネジャーがハエの写真を携帯から削除してくれないかと求めてきた。呉さんは、「写真は私が出くわした事実を記録したものであって、店側がどうこう言う権利はない。体調を気遣うわけでもなく、写真のことばかり気にしていた。以前、この店は厨房(ちゅうぼう)にネズミが出たことを暴露されたが、食品の安全問題に対してまだこのような態度なのか」と憤りながら振り返る。

 呉さんは、店側の謝罪として一度は受け取ったみやげ物やサービス券をすべて突き返し、食事代も自分で支払った。

 呉さんは後日、この出来事をインターネット上に書き込んだ。また、地元政府の食品薬品監督管理部門へも報告した。その日の午後、勁松店店長から呉さん宅へわびに行きたいとの連絡があったが、断った。

 店長は翌日改めて、店員の態度や言動に問題があったことを認め反省し、今後は二度と同じことがないようにすると誓った。呉さんも、今度は謝罪を受け入れた。

 勁松店は今後、月に一度は害虫駆除業者を呼ぶことにし、店内のホール・厨房の死角に関しても毎日、徹底的に清掃を行うとしている。店長は、「特に夏場は虫も多くなることから、清掃・消毒の頻度を上げ、同じことが起こらないように徹底していく」と話している。(c)東方新報/AFPBB News