OPCW、シリア化学攻撃の責任特定可能に ロシアは脱退の可能性示唆
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【6月28日 AFP】化学兵器禁止機関(OPCW)は27日、同機関の権限を強化し、シリアで行われた化学兵器攻撃の責任の所在を特定できるようにする案を採択した。ロシアはこの動きを批判した上、同機関からの脱退について「あらゆる選択肢がある」と表明した。
今回の提案は英国によるもので、2日間にわたる緊迫した協議の後に採択された。OPCW英国代表部はツイッター(Twitter)で、同案が「賛成82票で可決された。反対は24票だった」と明らかにし、喜びを示した。
ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英外相はビデオメッセージで、OPCWには今や「極めて重要な追加権限がある。化学兵器の使用を特定するだけでなく、その責任があると思われる組織や国家を名指しする権限だ」と語った。
AFPが確認した文面によれば、OPCW事務局には「シリア・アラブ共和国での化学兵器使用の加害者を特定するため準備を整える」ことが義務付けられた。
シリアでの化学兵器使用をめぐっては、首都ダマスカス近郊の東グータ(Eastern Ghouta)地区ドゥーマ(Douma)で4月、塩素ガスとサリンを使った攻撃があったとされ、OPCWによる報告書の公表が待たれている。
ロシアとシリアは、この攻撃はでっち上げで、シリアの市民ボランティアでつくる救助隊「ホワイト・ヘルメット(White Helmets)」が演出したものだと主張。一方、医療関係者や救助隊員らは、40人の死者が出たと述べている。
英国のピーター・ウィルソン(Peter Wilson)駐オランダ大使兼OPCW常駐代表は、OPCWには、ドゥーマでの攻撃に背後で関与した可能性のある主体を特定する権限があると言明した。
ロシアはシリア、イランと共に英国案に強く反対し、採択はOPCWが崩壊寸前であることを示す動きだと批判。ロシアのアレキサンドル・シュルギン(Alexander Shulgin)駐オランダ大使兼OPCW常駐代表は、ロシアは同機関から脱退するかとの記者からの質問に「あらゆる選択肢がある」と述べた。
ロシアは昨年末の国連安全保障理事会で拒否権を行使し、シリアでの化学兵器攻撃疑惑に対する責任の所在の特定を目指す国連・OPCW合同委員会の設置を事実上頓挫させていた。(c)AFP/Jo Biddle