【6月28日 東方新報】中国社会科学院(Chinese Academy of Social SciencesCASS)がまとめた「中国都市競争力第16回報告(総報告)」によると、①中国中西部の大都市の台頭、南北二極化の拡大②中部地区の人口増加、東部・中部地区の一体化加速、都市間の人材競争激化③成熟都市の製造業の周辺地域への拡大と、成長都市の製造業の都市部集中─などの傾向が明らかになった。

■中国中西部の大都市の台頭、南北二極化の拡大

 重慶(Chongqing)、成都(Chengdu)、鄭州(Zhengzhou)、武漢(Wuhan)、長沙(Changsha)、南昌(Nanchang)各市の2013-2016年の国内総生産(GDP)成長率はそれぞれ40.16%、33.60%、30.83%、31.61%、30.80%、30.54%で、東部の主要都市を上回った。中西部都市は成長段階にあり、域内資源の都市集約が進んでいる。

 中国の地域間格差は以前から存在しているが、最近は「南高北低」が目立っている。南部で成長率が最も低い都市は、北部で成長率が最も高い都市の数字を上回る。

■中部地区の人口増加、東部・中部地区の一体化加速、都市間の人材競争激化

 中西部地区の経済成長により、人口流入が続いている。2013ー16年の中部地区81都市の人口増加率は2.91%で、西部地区85都市は0.86%、東部地区88都市は1.02%だった。一方、東北地区は人口流出が止まらず、35都市の人口は2.23%減少した。中西部都市は特に成都、重慶、武漢各市に人口が流入している。

 都市の成長で重要な役割を果たす消費市場の拡大は人口の多さに依存し、イノベーションは人材に依存する。各都市は以前にも増して人口増を望んでおり、人材争奪戦が激しくなっている。

 人材争奪戦は「一級都市」から始まり、特に大卒人材の獲得合戦が激しい。各都市は戸籍取得の条件を緩和し、住宅を整備するなどして、人材確保に力を入れている。

■成熟都市の製造業の周辺地域への拡大と、成長都市の製造業の都市部集中

 成長産業が集中する都市は競争力が強い。逆に斜陽産業が主軸の都市は、将来に不安を抱えている。

 製造業は中部都市に、ハイグレードサービス業は東部の成長都市に集中している。「一帯一路」戦略の進展で、中西部都市の優位性が日増しに高まっている。

 製造業は中部地区に集中が進む。成長都市では、周辺都市から製造業の移転が増えている。一方で、成熟都市では三次産業の比率が上昇し、製造業の比率は下降している。(c)東方新報/AFPBB News