【6月26日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が先週、神を「ばか」者呼ばわりする発言を行い、カトリック教徒の多い同国では怒りの声が広がったことを受け、大統領周辺は26日、対応に追われた。

 ドゥテルテ氏は22日に行ったスピーチで、神はなぜアダムとイブを創造し、誘惑にさらしたのかという疑問を提起し、「このばかな神は何者なのか。完璧なものを創造しておきながら、自らの創造物を誘惑し、その品性をぶち壊す出来事を思い付くとは」と話した。

 過去2000年の間、キリスト教神学者らが説明に苦しみ続けてきたのが原罪の問題であり、ドゥテルテ氏は独特の物言いで、この難解な教理を取り上げてみせた。

 フィリピンは1億人を超える人口のうち、約8割がカトリック教徒。同国のカトリック教会の指導部は大統領の発言を非難し、フィリピン福音教会協議会も26日、「国民の大部分が深く信じているキリスト教の神をばかにしたようにののしるとは、わが国の大統領としては全くもって不適切」と指摘した。

 一方のドゥテルテ氏は、25日のスピーチでは自身の発言を擁護していたものの、翌26日になって大統領報道官が、同氏のコメントに関して宗教団体との「対話」を持つため、3人のメンバーで構成される委員会を設置すると発表。同報道官は記者会見で、「政府と教会の間の確執を緩和することがテーマになる」と説明した。

 大統領はこれまでも同国で伝統的に強い力をもつカトリック教会と、とりわけ数千人が死亡した麻薬取り締まりをめぐり、対立を繰り返してきた。(c)AFP