【6月27日 CNS】中国では最近、「呼死你(Hu Si Ni)」アプリによる迷惑電話が頻発していた。犯罪グループは脅迫など乱暴な方法で金を巻き上げる手段として使い、被害者の生活に混乱をもたらしている。中国の警察はこのほど、四川(Sichuan)、河南(Henan)、広東(Guangdong)三省で同時並行して、高速で電話の連続発信ができるアプリ「呼死你」を使った犯罪グループを摘発した。

 今回の取り締まりでは、容疑者約210人を逮捕し、犯罪に使われた携帯電話約3100台を押収。「呼死你」アプリ用の83万アカウントを使用停止したほか、サーバーやパソコン、銀行カードなどを押収した。全国で初めての、「呼死你」に関わる全面的な摘発だ。

■メール脅迫、取り立て・・・電話鳴りやまず

 ワンコールですぐに切れる電話が1分に5回、1時間で600回、1日に1万4000回鳴り、脅迫されて300元(約3400円)を送金。湖北省(Hubei)襄陽市(Xiangyang)の聶さんの身に起こったことだ。

 楚天都市報(Chutian Metropolis Daily)の報道によると、1日午後、聶さんの携帯電話が突然鳴りだした。発信者の電話番号が表示されないので、着信拒否を設定できなかった。やむなくサイレントモードにしても、電話は鳴り続ける。聶さんは通信会社に相談したが、遮断手続きも、相手情報の調査もできない。緊急に携帯電話の使用を停止するよう提案された。

 電話のほかに、聶さんはショートメールを2本受信していた。「あなたは『呼死你』ソフトの攻撃を受けており、毎日午前8時から翌日の午前1時まで続く」「微信(ウィーチャット、WeChat)で新規アカウントを設定し、300元を振り込まないと攻撃は解除されない」という内容。翌日の午前11時、聶さんは金を支払わずに警察に届けた。午後0時30分、まる一日続いた電話攻撃はついにやんだ。

 犯罪者は範囲を広げ、被害者の親せきや友人にも「呼死你」アプリで攻撃をかけてくるケースがある。

 広州市(Guangzhou)の劉さんはアップル(Apple)の携帯が盗まれ、犯人とみられる者からアップルのIDとパスワードを教えるよう要求された。

 犯人は当初、アップルのカスタマーサービスだと名乗った。うそがばれると、「携帯のロックは既に解除した、携帯に登録されていた連絡先情報を見られるようになったので『呼死你』で攻撃する」と脅してきた。

 劉さんは脅しを無視したため、劉さんと家族や友人たちはその後、さまざまな脅迫電話やメールを受け取るようになり、数分の間に、100件以上の着信を受けることもあったという。

「呼死你」は、乱暴な借金取り立ての手段にもなりつつある。犯罪者たちは、借金を抱えた人の連絡先リストの家族や友人などに「あなたの友人が借金を返さないので、あなたを連絡人とする」「あなたの正常な生活が壊されないよう、早く返済するよう伝えてほしい」などとショートメールを送りつけ、電話による攻撃を開始する。この電話は、中国全国各地から発信され、1分間に4~5回かかってくるという。

■情報漏えいで「精密攻撃」 どうしたら?

 山東省(Shandong)徳州市(Dezhou)武城県(Wucheng)の会社経営者の張さんは、3日連続して24時間におよぶ電話攻撃を受け、その間に脅迫された金額は900元(約1万5000円)から1万元(約16マン7000元)へと膨れ上がった。

 現地の通信会社員の話によると、こうした電話攻撃は「呼死你」アプリから発信され、発信者側のアカウントが実名で登録されていないため、警察も相手方の情報を得ることができず、電話攻撃から逃げるためには携帯電話の番号を変えるしかないという。

 警察は、もし「呼死你」アプリによる電話攻撃を受けたら、速やかに警察に通報し、法律によって自分の法的な権利を守るよう注意を喚起している。(c)CNS/JCM/AFPBB News