不法移民問題をビッグビジネスに、甘い汁吸う国境の町 米テキサス
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【6月27日 AFP】移民を相手に無償で活動している人権活動家にしてみれば、移民の苦境を利用してひともうけする輩は「むかむかする」存在だ。しかし、メキシコと国境を接する米テキサス州では、民間刑事施設の運営会社や金融業者、小さな法律事務所にとって、不法移民問題は仕事を生み出すビッグビジネスとなっている。
テキサス州は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が導入した、不法入国者を厳格に取り締まる「ゼロ・トレランス(不寛容)」 政策によって起きている移民危機の中心地だ。この政策によって、不法入国、または難民認定申請中の家族から引き離された子どもは2000人を上回る。
トランプ氏は20日、移民親子引き離し措置を停止する大統領令に署名したが、これが現場に及ぼす影響をめぐっては大きな混乱が続いている。
移民税関捜査局(ICE)によれば、2017年度にメキシコから越境し、国境警備隊に拘束された人の数は30万4000人近くに上った。そのうちの3分の2以上はテキサス州での拘束だった。ただ、同州に国内最多の移民収容施設があることを考えれば、これは驚きの数字ではない。
同州ヒューストンには、米近代史初となる民間の刑事施設がある。1983年に設立された同施設を運営するコアシビック(CoreCivic、旧コレクション・コーポレーションズ・オブ・アメリカ)とGEOグループ(GEO Group)は業界大手で、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)にも上場している。
コアシビックはICEとの契約により、テキサス州で4か所の収容施設を運営している。一方のGEOも現在、4か所目となる施設を建設中だ。両社それぞれが国内で所有または運営している刑事施設は120以上に上る。
GEOのジョージ・ゾーリー(George Zoley)最高経営責任者(CEO)は昨年、連邦政府と新たに1億1000万ドル(約120億円)相当の契約を結んだことを発表し、「ICEからわが社への変わらぬ信頼に心から感謝している」と発言していた。