【6月25日 AFP】オーストラリアに生息する野良猫が爬虫(はちゅう)類を毎日100万匹以上殺しているとの研究論文が25日、学術誌「ワイルドライフ・リサーチ(Wildlife Research)」に掲載された。研究によると、多くの種にとって猫による捕食は脅威となっているという。

 猫は2世紀前に入植者によって欧州からオーストラリアに持ち込まれて以降、同国内で複数の動物種を絶滅させてきた。間引きや避妊手術も行われているが、今のところ絶滅のペースは衰えていないという。

 今回発表された研究結果は、国内の環境研究者から寄せられた猫1万匹以上の食べ物のデータをまとめたもので、それによると、毎年合わせて6億5000万匹近くのトカゲやヘビが野良猫や飼い猫に食べられているという。

 研究を率いた豪チャールズ・ダーウィン大学(Charles Darwin University)のジョン・ウォナースキー(John Woinarski)氏は、「野良猫1匹は1年に平均225匹の爬虫類を殺している」と説明。また、野生猫による爬虫類の捕食数は欧米よりもオーストラリアのほうが多いという。

 さらにウォナースキー氏は「一部の猫は驚異的な数の爬虫類を食べている」と指摘し、「1匹の猫の胃にトカゲが最高40匹いたのをはじめ、猫がトカゲを大量に食べる例を多く目の当たりにした」と述べた。研究によると猫が食べていた爬虫類はグレートデザートスキンク、アゴヒゲトカゲ、ヤモリなど250種に上り、うち11種が絶滅危惧種だった。

 オーストラリアに生息する野良猫は数百万匹に上り、これが同国で哺乳類の絶滅率が高い原因だとも考えられている。また同じ研究チームが昨年行った調査では、オーストラリアで1日に100万羽以上の鳥が野良猫に殺されていることが判明し、中にはウズラチメドリやライチョウバト、ヒメフクロウインコなどの絶滅危惧種も含まれていた。(c)AFP