【6月24日 AFP】シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権軍を支援するロシア軍が23日、シリア南部ダルアー(Daraa)県の反体制派地域に空爆を実施したと在英NGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」が発表した。同監視団によると昨年夏にダルアー県が停戦地域とされて以来、ロシア軍による同県での空爆は初だという。

 シリア南部はシリア内戦の当事者たちにとって戦略上の重要拠点となっており、先月首都ダマスカスを掌握したアサド大統領は、大半が依然として反体制派の制圧下にある南部のダルアー県とスウェイダ(Sweida)県の奪還に意欲的であるとみられている。

 シリア人権監視団によると、23日の空爆で使用された戦闘機の種類や飛行場所、弾薬や飛行パターンから、同機はロシア軍が駐留するシリア沿岸のフメイミム(Hmeimim)空軍基地から飛来したもので、ロシア軍による空爆はダルアー県東部で現在も続いているという。

 ロシアは米国、ヨルダンとともに昨年7月、シリア南部の反体制派地域に「ディエスカレーション・ゾーン(緩和地帯)」を設置する停戦案に合意。しかし今月に入り、シリア政権軍による南部の反体制派支配地域への攻撃が激化している。

 政権側の部隊は19日から反体制派支配地域への空爆と砲撃を強めており、シリア人権監視団によると少なくとも民間人19人が同地域で死亡したほか、ここ数日で住民1万2000人がダルアー県を脱出し、その多くが西部にある設備の整っていないキャンプで避難生活を送っているという。(c)AFP/Maya Gebeily