【6月24日 東方新報】中国で民泊市場が爆発的に成長している。仲介サイトの登場で、都市の集合住宅から郊外の別荘まで、大量の物件が供給されるようになった。国家情報センター(SIC)が公表した「中国シェア宿泊発展報告2018」によると、2017年時点で中国の主要民泊仲介サイトに掲載された物件数は300万件、市場規模は前年比70.6%増の145億元(約2500億円)だった。

 北京(Beijing)在住の李暁さんは最近、家族や友人と北京郊外の古民家に宿泊した。昼は万里の長城を訪ね、夜はクルミの木の下でバーベキューを楽しんだ。

 李さんは、「ホテルはホテルの良さがあり、民泊には民泊の良さがある。民泊はインテリアや食事が個性的で、現地の生活との距離感も近い」と語った。

 李さんが宿泊した古民家は敷地面積400平方メートルで、六つの部屋があり、各部屋にバスルームがついていた。庭には大きなクルミの木が3本あるほか、野菜も栽培されており、宿泊客は自由に収穫できる。

 SICの報告書によると、民泊オーナーの平均年齢は33歳で、学歴は大卒以上が約7割を占める。女性の比率が6割に上るのも特徴だ。ゲストは18~30歳が7割を超えた。

 一方、オンライン旅行会社「途牛網(Tuniu、トゥニウ)」ホテル事業部の責任者、王暁燕(Wang Xiaoyan)氏は、「民泊は急成長の裏で、品質のばらつきという問題がある」と指摘する。

 民泊は大部分が個人経営で、ルールや条例も未整備だ。施設の老朽化や、シーツ交換が滞っているなどの問題も指摘されている。特に行楽シーズンには、人手が足りずゲストに十分なサービスを提供できない民泊もある。

 民泊仲介サイトも品質向上を意識し始めており、国内最大手の「途家(Tujia)」は今年、民泊のランク付け制度を導入した。

 中国旅行研究院の戴斌(Dai Bin)院長は、「民泊は一部地域では過剰感もあるが、一方でドライブ旅行、親子旅行などの新たな需要には十分に対応できるボリュームがない」と語った。

 SICの報告は、民泊市場が2020年には500億元(約8500億円)に達し、物件数は600万件、ゲスト数は1億人を超えると試算している。(c)東方新報/AFPBB News