チップ制労働者の最低時給、1650円に引き上げ 米ワシントンで法案可決
発信地:ワシントンD.C./米国
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【6月20日 AFP】米首都ワシントンで19日、チップで収入を得ている労働者に最低時給15ドル(約1650円)を支払うよう事業者側に義務付ける条例案が住民投票にかけられ、賛成が過半数を上回り可決された。事業者は2025年までに引上げを実施しなければならないという。
コロンビア特別区選挙管理委員会によると賛成は全投票数の55.14%に上ったというが、「イニシアチブ77(Initiative 77)」とも呼ばれていたこの最低賃金改正法案をめぐり、飲食店の従業員たちと経営者たちの間では激しい議論が巻き起こっていた。
反対派はこれまで、法制化でメニューの価格が値上げされてチップが減り、経営者のみならず労働者にも痛手となると主張していた。
チップ制労働者の雇用主は今のところ通常の最低賃金規則の適用から除外されており、時給が3ドル33セント(約370円)しか支払われていないウエーター・ウエートレスもいる。
しかし、チップ制労働者の多くがこの法制化に反対している。チップ制労働者の稼ぎは現在、ほとんどがチップによって賄われており、値上げの影響でチップが減れば収入に深刻な影響をもたらす恐れがあるからだ。
チップ制労働者の収入が現行の最低賃金12ドル50セント(約1380円)に満たない場合、雇用主は不足分を補わなければならないと今のところ法律で義務付けられている。しかし、イニシアチブ77を支持し、ワシントンで小規模な事業を営むクリストファー・マギアノ(Christopher Maggiano)さんは、法令違反が多発していることから「この法律を施行するのは難しい」との考えを示した。(c)AFP