【6月19日 AFP】結婚生活は時に、うれしいことよりつらいことの方が多いかもしれないが、配偶者とともに年を取ることは、心臓疾患や心臓発作の予防に寄与するかもしれないとする研究結果が19日、発表された。

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 英医学誌「Heart」に掲載された研究では、過去20年にわたって行われた34件の調査を分析、対象は42歳から77歳の200万人以上におよんだ。その結果、既婚であることが、心臓疾患や発作のリスクを大幅に減らすことが分かった。欧州、北米、中東、アジア地域に住む民族的に多様な人々を調査したことも、研究結果の重要性を高めている。

 配偶者とともに生活する人に比べて、離婚した人、配偶者を亡くした人、結婚歴のない人が心血管疾患、冠状動脈性心疾患にかかる可能性はそれぞれ42%、16%高いことが明らかになった。冠状動脈性心疾患、心臓発作で死亡するリスクも、結婚していない人の方がそれぞれ42%、55%高かった。

 調査結果に男女差はほとんど無かったが、心臓発作については、男性の方が起こしやすかったという。

 英ロイヤル・ストーク・ユニバーシティ病院(Royal Stoke University Hospital)心臓病科のチュン・ワイ・ウォン(Chun Wai Wong)氏率いる研究チームは、「この結果は、心血管疾患のリスク診断の要素に、婚姻関係の有無も含めるべきことを示唆している」と述べている。

 心血管疾患の80%は、男性であること、高齢、高血圧、高コレステロール、喫煙、糖尿病など一連の「危険因子」によって引き起こされると考えられている。言い換えれば、残りの20%の一部は、配偶者の有無が担う可能性がある。

 一方、分析対象となった34件の調査の大半について、婚姻状態にないカップル、同性のカップルといった状態は分からなかったため、統計的には、このようなカップルにも結婚している男女と同じ効果があるかはわからなかったという。

 同研究は観察に基づいているため、因果関係に従った明確な結果は導き出せていない。なぜ結婚が「予防措置」となり得るかについては、更なる研究が必要だ。

 これについて研究チームは「さまざまな学説がある」としている。例えば健康問題に注意を払ってくれたり、記録を残してくれたりする人が周りにいることや、収入や年金が2人分あることも有益だ。

 また、一人暮らしでないことはやる気を高め、神経系を刺激するとされる。既存の研究では、カップルで暮らす人は認知症になる確率が低いことも示されている。(c)AFP