【6月19日 AFP】赤十字国際委員会(ICRC)は18日、報告書「Roots of Restraint in War(戦争における抑制の根源)」の最新版を公表し、今世紀に入って世界の内戦の数が2倍以上に増加し、残虐行為を減少させる上で新たな問題になっていると指摘した。

 報告書は、過去6年間に出現した武装勢力の数はその前の60年間より多かったことを明らかにした。この事実は戦闘員らに基本的な人道的原則に基づく行動を取るよう説得することが難しくなっていることを意味している。

 ICRCによると、2001年から2016年の間で「非国際的武力紛争」の件数は30から70以上に増加しており、それに伴い一つの紛争に関与する武装勢力の数も大幅に変わった。今日の紛争事例の中で2つの勢力が関与しているものは全体の約3分の1に過ぎず、44%の事例では3~9の勢力が戦っているという。

 報告書は極端な例として、2011年に236団体の武装勢力が確認されたリビアの都市ミスラタ(Misrata)を挙げた。またジミー・カーター(Jimmy Carter)元米大統領が設立したNGO「カーター・センター(Carter Center)」によると、2014年にシリアで戦闘に参加した武装勢力は約1000団体に上ったという。

 ICRCは武力紛争時の傷病者、捕虜、文民の保護について定めたジュネーブ条約(Geneva Conventions)を保護する役割を担い、政府軍やよく組織された反政府勢力に国際人道法に基づく行動規範を遵守するよう働き掛けてきたが、報告書は今日の戦闘の実態を踏まえて取り組み方を変えていかなくてはならないと指摘している。(c)AFP/Ben Simon