【6月16日 AFP】フランス・パリのセーヌ(Seine)川沿いに軒を並べる「ブキニスト(Bouquinistes)」と呼ばれる古本屋が、バゲットやビストロに続き、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の無形文化遺産(Intangible Cultural Heritage of Humanity)への登録を目指している。

「世界一大きな露天書店」を自称するブキニストの深緑色の売店が並ぶ光景は、17世紀からパリの風物詩となっている。

 セーヌ川両岸に並ぶ登録書店226軒が所有する約1000軒の店は、1991年にユネスコの世界遺産(World Heritage)に登録されている。

 ノートルダム大聖堂(Notre Dame Cathedral)近くで古本を販売するジルダ・ブイヨ(Gildas Bouillaud)氏は、「われわれは驚くほどの多様性と個性を持って知識を広めている。この街において哲学的な役割を果たしている」と本に積もったほこりを払いながら語った。

 フランソワ・ミッテラン(Francois Mitterrand)元大統領も1981~1995年の在任中に、ボディーガード2人を従えてブキニストをたびたび訪れていたという。

 書店経営者らは出店料を負担していないが、商売は以前より困難になっている。フランスの巨匠の希少な本よりも観光客向けの土産物からの収入のほうが多くなっているという。

 ブキニスト組合のジェローム・カレー(Jerome Callais)会長は「書店経営の危機やマルチメディアとの競争、ますます広がる教育の欠如と直面する中、われわれに注目が集まるよう望んでいる」と述べた。「われわれは観光客にとってエッフェル塔(Eiffel Tower)と同じくらい重要な存在なのだから」

(c)AFP/Marie GIFFARD