世界の洪水被害、サンゴ礁衰退で倍増の恐れ 研究
発信地:パリ/フランス
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■自然資産の価値
今回の最新研究では、沿岸洪水のモデルと経済モデルを組み合わせて、嵐に関連する損壊を防ぐ防波堤としてのサンゴ礁の価値を国別に推算した。
世界規模では、沿岸洪水で年間40億ドル(約4400億円)近くの損害が発生すると推定される。
全世界のサンゴ礁の最上部が1メートル削られると、この数字が80億ドル(約8800億円)に倍増することを、ベック教授と研究チームは発見した。
「最上部の生体サンゴが死ぬと、その部分がすぐに折れて取れてしまう可能性がある」と、ベック教授は述べた。
サンゴ礁の消失によるリスクが最も大きいのは、インドネシア、フィリピン、マレーシア、メキシコ、キューバの5か国。これらの国々は、サンゴ礁を維持すればそれぞれ年間4億ドル(約440億円)の損害を回避できる可能性がある。
サウジアラビア、米国、台湾、ベトナムなども、サンゴの深刻な衰退に伴って洪水の影響を著しく受けやすくなると考えられる。
「このほんの数年間にハリケーンのイルマ(Irma)やマリア(Maria)、超大型の台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)などの熱帯性低気圧がもたらした破壊的な影響を考えると、サンゴ礁がなければ被害ははるかに悪化すると思われる」と、ベック教授は話した。(c)AFP/Marlowe HOOD