【6月13日 AFP】ギリシャとマケドニアは12日、マケドニアの国名を「北マケドニア共和国」に変更することで合意し、両国間で30年近く続いた国名論争に決着をつけた。ただギリシャ国内では、合意を評価する一方、その恩恵について疑問視する声も上がっている。

 両国首脳は12日、数か月にわたる集中的な外交交渉の末、マケドニアを新たに「北マケドニア共和国」と呼称するという「歴史的」な解決策に達したと発表。

 ギリシャの首都アテネにあるパンテオン(Panteion)大学の政治学者バシリキ・ジョルジアドー(Vassiliki Georgiadou)氏は日刊紙「タネア(Ta Nea)」に対し、「双方にとって有益な合意はわが国の北部国境エリアに安全な環境を生み出す。ギリシャはトルコと緊張関係にあるため、この合意が必要だ」と寄稿した。

 一方、両国政府は合意に関して国内からの批判に直面しており、両国の最大野党は今回の合意に対する不支持を表明している。

 合意発表後、ギリシャの最大野党で保守系政党の党首は、「悪しき合意」と非難。「マケドニアの言語と国民性を受け入れることは、容認できない国家的な後退だ」と述べた。

 また一方のマケドニアでは、ゲオルギ・イワノフ(Gjorge Ivanov)大統領が懸念を示しており、「マケドニア国民の尊厳を傷つけない解決策を見つけるため、より広い国民的な合意が必要だ」と述べた。イワノフ大統領は、昨年の選挙で現政権を率いる社会民主同盟(SDSM)に敗北した民族主義政党マケドニア民主党連合(VMRO-DPMNE)に近いとされている。

 ギリシャは長年、同国北部と国境を接するマケドニアの国名について、自国の北部に同名の地域があることを理由に抗議していた。マケドニアは、国名問題の解消により、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)への加盟に向けた道が開けることを期待している。

 ただ合意内容は今後、マケドニア議会で承認され国民投票にかける必要があり、ギリシャでも議会で承認されなければならない。(c)AFP