【6月13日 AFP】米国で最も殺人発生率の高い都市シカゴで、ソーシャルメディア(SNS)による交流が暴力をあおる「重大な」役割を果たしているとする調査結果が12日、発表された。

 シカゴ犯罪委員会(Chicago Crime Commission)によると、中西部シカゴに10万人以上いるギャング構成員の多くが、日ごろからオンライン上でののしり合いや自慢話を繰り返しており、それが即、街中での暴力沙汰に発展することが多いという。

 同委員会のアンドリュー・ヘニング(Andrew Henning)氏はAFPに対し「われわれのデータは、SNSが膨大な数の暴力をあおってきたことを示している」と述べた。

 ヘニング氏はSNSの現象をグラフィティーと比較する。かつてギャング間の情報はグラフィティーでゆっくりと拡散していったが、最近ではSNSの即時性によって情報の拡散が加速され、それが即座に抗争に繋がっているという。

 シカゴで活動する50組織以上のギャングの構成員たちは、縄張りの防衛や違法薬物の売買といった日々の活動にフェイスブック(Facebook)やインスタグラム(Instagram)、ツイッター(Twitter)、メッセージアプリなど、さまざまなSNSを使用している。

 ギャングの構成員が絵文字を使って違法薬物の注文を受けたり、動画を投稿してライバルをあざけったり、自分が受けた侮辱に反撃したりしている。ヘニング氏は「動画が投稿された途端に死人が出る、殺人事件が起きる」と述べた。

 この報告書によって、シカゴ市警が長年、主張してきたことが裏付けられた格好だ。シカゴでは殺人事件や発砲事件の発生件数が急増しており、2016年には殺人が750件を超え、米国の都市で最多となった。

 同市警はこの2年間、警察官を増員したり、有名なギャング構成員のSNS活動を分析するなどテクノロジーの使用を拡大したりして事件の発生件数を減らしてきた。

 しかしシカゴ犯罪委員会によると、警察や裁判所はSNS交流のスピードやニュアンスに付いていくのに四苦八苦しているという。(c)AFP