知られざるリスク、米国人の3人に1人がうつ病の副作用ある薬を服用
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【6月13日 AFP】米国人の3人に1人が、うつ病のリスクを高める恐れがある医薬品を服用しているとの研究結果が12日、米国医師会雑誌(JAMA)で発表された。
この論文では、これらの医薬品が経口避妊薬や胃の制酸薬、一般的な心臓病の薬といった広く普及している処方薬や市販薬であるため、副作用としてうつ病を引き起こす可能性があることを一般の人は知らないかもしれないと指摘している。
イリノイ大学シカゴ校(University of Illinois at Chicago)のディマ・クァト(Dima Qato)助教(薬剤システム)は「服用している薬が、うつの症状が現れるリスクを高めたり、うつ病の発症につながったりする恐れがあると知ると驚く人も多いのではないか」と述べた。
この研究によると、うつの症状が現れるリスクが最も高いのは、副作用でうつ病が引き起こされ得る薬を複数同時に服用している人だった。こうした薬を同時に3種類以上服用した成人の約15%に服用中にうつの症状が現れたのに対し、薬を一切服用しなかった人はわずか5%、1種類しか服用しなかった人は7%だった。
ブラックボックス警告と呼ばれる明確な警告文で、自殺のリスクを表示しているのは抗うつ薬だけだ。降圧薬、「プロトンポンプ阻害薬」と呼ばれる制酸薬、鎮痛薬、経口避妊薬などの一般的な医薬品のパッケージでは、こうした警告文はもっと分かりにくく表示されているか、全く表示されていないかのどちらかだ。このため多くの患者が、こうした一般的な薬の副作用としてうつ病のリスクがあることに気付いていない恐れがあるという。
米保健当局は1週間前、米国の自殺率は過去20年で30%増加したが、自殺者の約半数は精神病と診断されていなかったと発表していた。(c)AFP/Kerry SHERIDAN