【6月13日 AFP】史上初の米朝首脳会談に臨んだドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、米韓合同軍事演習を「挑発的」であるとして中止する意向を表明したことを受け、米国防総省の職員らは12日、在韓米軍に関する明確なメッセージを求めて奔走した。

 トランプ大統領はシンガポールでの米朝首脳会談後に開いた記者会見で、米国が北朝鮮との包括的な合意の具体化に向け取り組む中で、定例の米韓合同軍事演習を継続することは「不適切」だと発言し、観測筋らを驚かせた。大統領はさらに、韓国から米軍を「いつか」撤退させたいとの意向も示した。

 米韓合同軍事演習を中止するとの約束は、トランプ氏が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長と共に署名した共同声明には盛り込まれておらず、韓国と米国防総省にとっては寝耳に水だったようだ。

 米国防総省では、在韓米軍にとって数十年ぶりの大きな方針転換となる大統領の発言を話し合うため、職員らが打ち合わせを繰り返した。在韓米軍(USFK)報道官のチャド・キャロル(Chad Carroll)大佐によると、在韓米軍は今年予定されている「乙支フリーダムガーディアン(Ulchi Freedom Guardian)」など、今後の合同軍事演習に関する新たな方針を今のところ受け取っていないという。

 トランプ大統領の発言はまた、大統領とジェームズ・マティス(James Mattis)米国防長官との間で深まる溝を反映しているようにもみえる。マティス長官は首脳会談の直前、国防総省の記者団に対し、自分の知る限り在韓米軍問題は首脳会談の議題にならないと述べていた。

 米外交問題評議会(Council on Foreign Relations)のリチャード・ハース(Richard Haass)会長はツイッター(Twitter)への投稿で、北朝鮮の「従来型軍事脅威」削減への言及なしに、トランプ氏が米韓合同軍事演習の中止に同意したことに懸念を表明した。(c)AFP/Thomas WATKINS