【6月12日 AFP】米国は12日、台湾にある米国の代表機関で、事実上の大使館である米国在台協会(AIT)の新庁舎の落成式を行い、2億5500万ドル(約280億円)を投じたこの事業を米台関係における「一里塚」と位置付けた。台湾に対しては、中国からの圧力が強まっている。

 中国の外交戦略と軍事的脅威を受け、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権は台湾との関係強化を進めている。

 3月には、トランプ大統領が最高レベルの米政府高官の台湾渡航を可能にする新法に署名。これを受けて中国政府は米国に対し、「過ちを正す」よう要求していた。

 米側は落成式にマリー・ロイス(Marie Royce)国務次官補を派遣。教育・文化分野を担当するロイス氏の夫は、下院外交委員会(House Committee on Foreign Affairs)委員長で親台派のエド・ロイス(Ed Royce)氏だが、より高位の政府関係者の出席を懸念していた中国にとっては、さらに波紋を広げる人選とはならなかった。

 蔡英文(Tsai Ing-wen)台湾総統と共に式典に出席したロイス国務次官補は、「AITの新庁舎は、米台関係の堅固さを反映した目に見える象徴であると同時に、今後何年にもわたってさらなる協力を可能にする最新鋭の施設だ」と述べた。

 AITのジェームズ・モリアーティ(James Moriarty)理事長は、新庁舎は米台関係における「一里塚」であり、「台湾への米国の強い関わりの証し」だと話した。

 また蔡総統は新庁舎について、「米台関係の素晴らしい歴史」の新たな章の幕開けを表すものだと歓迎した。(c)AFP