【6月12日 AFP】1983年に行方不明となっていた米空軍将校が偽名を使って米カリフォルニア州で暮らしていたことが分かった。米空軍特別捜査室（Air Force Office of Special Investigations）が明らかにした。うつ状態にあったため軍から逃げたという。

　空軍特別捜査局によると、この将校はウィリアム・ハワード・ヒューズ・ジュニア（William Howard Hughes Jr）容疑者（66）で、空軍で最高レベルの秘密情報へのアクセス権を持っていた。バリー・オベアン（Barry O'Beirne）と名乗っていた容疑者は、先週行われた偽造パスポート関連の捜査で身元の不一致を指摘され、自身の正体を明かして逮捕された。

　ヒューズ容疑者は、オランダで北大西洋条約機構（NATO）との短期間の仕事を終えてまもなく失踪。ニューメキシコ州アルバカーキ（Albuquerque）の19か所で自身の銀行口座から計2万8500ドル（現在の為替レートで約315万円）を引き出す姿が目撃されたのを最後に行方不明になっていた。

　当時の複数の報道によると米情報機関は、ヒューズ容疑者はソ連の工作員に拉致されたか、あるいは自らソ連に亡命したものとみていた。

　米空軍特別捜査室の報道官は地元紙アルバカーキ・ジャーナル（Albuquerque Journal）に、ヒューズ容疑者が失踪時に機密情報を所持していた、あるいは外部に漏らした形跡はないと語った。

　ヒューズ容疑者は職務放棄の容疑が持たれており、現在、カリフォルニア州のトラビス空軍基地（Travis Air Force Base）で身柄を拘束されている。有罪になれば最大で禁錮5年の刑を受ける可能性がある。(c)AFP