【6月12日 AFP】10日に行われた18F1第7戦カナダGP(Canadian Grand Prix 2018)の決勝で、チェッカーフラッグが最終周よりも早く振られるミスが起きた問題で、レースディレクターのチャーリー・ホワイティング(Charlie Whiting)氏は、旗を振ったモデルのウィニー・ハーロウ(Winnie Harlow)には何の責任もなく、混乱が起きたのは地元スタッフの間で伝達ミスが起きたことによるものだという認識を示した。

 当日のレースで優勝したフェラーリ(Ferrari)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)が最後の70周目ではなく、まだ69周目の段階でハーロウからフラッグを振られてしまった問題について、ホワイティング氏は「チェッカーフラッグが1周早く振られてしまったのは、レースのスタートとフィニッシュをコールする担当者の伝達ミスによるものだ。彼は最終周と思い込んで、レースコントロールに確認した。レースコントロールもそれを確認したが、彼が尋ねてきたときコメント文かと思ったそうだ」と述べた。

 国際自動車連盟(FIA)の一員としてF1の全レースで責任者を務めているホワイティング氏はまた、「彼が1周早く合図を送ったか、もしくは彼がハーロウに旗を振ることを1周早く伝えてしまったようで、ゲストには何の責任もなかった」と説明。こうした混乱に加えてマーシャルらが旗を振っていたことにより、観客がサーキットに侵入する恐れがあったなか、各ドライバーは誤って振られたフラッグを無視してもう1周レースを続けた。

■「混乱による影響」

 レースは70周まで行われたものの、正式な順位と一周の最速タイムは69周までの結果が反映されることになった。トップ10までの順位に影響はなかったが、レッドブル(Red Bull)のダニエル・リカルド(Daniel Ricciardo)が70周目で記録した最速タイムは認められず、2位でフィニッシュしたメルセデスAMG(Mercedes AMG)のバルテリ・ボッタス(Valtteri Bottas)に続いて3位に入ったチームメートのマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)に譲ることになってしまった。

 ゲストによるチェッカーフラッグでは過去にも同様の災難が起きており、2002年のブラジルGP(Brazilian Grand Prix)ではサッカーの伝説的選手だったペレ(Pele)氏が旗を振るタイミングを逃したことがあった。こうしたことを受け、ホワイティング氏は「これは単純な伝達ミスであり、非常に残念な出来事である。しかし、レースは多くの人間やさまざまな国、そして違う言語によって行われており、必ずしも完璧にはいかないものだ」とコメントした。

 レースでは各チームに70周まで続けて完走するように指示を出したというホワイティング氏だが、マーシャルがレース終了を信じ込んで旗を振っていたことが事態をさらに悪化させたとしている。

「あれで混乱が大きくなってしまった。マーシャルは勝者に旗を振って勝利を祝福するときがあり、それはレースが終了したと思ってやっていることだ。過去にもこうしたことが始まってしまったことを覚えているが、これは対処していかなければならない問題だ」(c)AFP