【6月11日 AFP】インドの警察当局は10日、よそ者が子どもを誘拐し売り飛ばしているとのソーシャルメディア上の流言に触発されて2人を暴行・殺害した容疑で、15人を逮捕したと発表した。インドでは最近、メッセージサービス「ワッツアップ(WhatsApp)」などでこうした流言が拡散し、真に受けた群衆から集団リンチを受けた無関係の人々が死亡する事件が相次いでいる。

 今回15人が逮捕された事件は、北東部アッサム(Assam)州の部族地域で8日に発生した。被害者は男性2人で、乗っていた車から引きずり出され、群衆に暴行された。警察が駆け付けたときには2人は既に死亡していたという。

 動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)に投稿された動画には、ひどいあざだらけで血を流した男性らが必死で命乞いをする様子が映っていた。男性らは同州グワハティ(Guwahati)在住の友人同士で、ピクニックからの帰り道だった。

 AFPの取材に応じた警察幹部は、逮捕した15人のうち暴行現場を撮影してインターネットに投稿した2、3人に焦点を絞って捜査を行っていると説明。「村人たちは、近辺を児童誘拐犯がうろついているというメッセージがワッツアップ上で3~4日前から流れ、口づてにもうわさを聞いたため、よそ者を疑いの目で見るようになっていた」と述べた。

 アッサム州のサルバナンダ・ソノワル(Sarbananda Sonowal)州首相は、今回の事件を受け「深く苦悶している」と表明。暴行罪で有罪となった者たちは厳罰に処すと宣言するとともに「人々には、平和と社会の調和の維持に務め、うわさを信じることのないよう強く求める」とツイッター(Twitter)への投稿で呼び掛けた。

 インドでは、ソーシャルメディア上で新聞の切り抜きに見せかけるなどしたフェイク(偽)ニュースが拡散され、触発された自警団や群衆による集団リンチが続発。先月には南部で相次いだリンチ殺人で合わせて6人が死亡している。(c)AFP