【6月10日 AFP】汎米保健機構(PAHO)は9日、政治、経済、福祉などで危機的な混乱状態に陥っているベネズエラで29年ぶりとなるポリオ患者が確認されたと明らかにした。

 PAHOによると、このポリオ患者は経済的に極めて貧しく、予防接種が十分に実施されていない東部デルタアマクロ(Delta Amacuro)州に住む子どもで、予防接種を受けていなかったという。

 ポリオ(急性灰白髄炎)はポリオウイルスによる感染症で、乳幼児がかかりやすく、手足にまひが現れることがある。

 元保健相のホセ・フェリックス・オレッタ(Jose Felix Oletta)医師はAFPに対し、ポリオ患者が最後に報告されたのは1989年だったと語った。オレッタ医師はニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)政権の保健当局がポリオウイルスを確認してからPAHOに報告するまで1か月以上要したことを厳しく非難した。国際的には確認後24時間以内に報告することが求められている。

 PAHOが9日に公表した報告書によると、ベネズエラでは麻疹(はしか)も多く発生しており、中南米とカリブ海諸国で昨年発生したはしかの症例の85%をベネズエラが占めたという。(c)AFP