【6月10日 AFP】カナダ・ケベック(Quebec)州で8日から2日間の日程で開かれた先進7か国(G7)首脳会議(サミット)で撮影された5枚の公式写真は5つの違った物語を表していた。

 最初に会議の様子を外部に伝えたのは、米国のサラ・サンダース(Sarah Sanders)大統領報道官が午前10時45分(日本時間午後5時45分)に公開した会議室内の写真だった。

 この写真でドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、落ち着いた様子で正面を見て、自信に満ちたたたずまいで腕を組んで椅子の背もたれに寄り掛かり、ほとんど嫌みを言っているような疑り深い態度で、懇願しているかのようにトランプ氏に向かって体を傾けている他の首脳らをはねつけるようなそぶりを見せている。

 10分後、フランス大統領府が同じ瞬間を別の角度から撮影した写真を公開。この写真ではエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領がジェスチャーを見せながらトランプ氏と交渉し、他の首脳らは魅了されたようにマクロン氏を凝視している。しかしアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相の顔は手前にいる人物の頭で隠れている。

 これは良くないと思ったのかメルケル氏の報道チームは大技を繰り出した。「世界報道写真(World Press Photo)」コンテストの受賞歴があり、現在はドイツ政府の公式カメラマンとして活動しているイェスコ・デンツェル(Jesco Denzel)氏が撮影した写真では、テーブルに両手を突いたメルケル氏が、緊張して無言で見上げているようなトランプ氏に迫っている。マクロン氏の顔は別の人物の顔に隠れ、英国のテリーザ・メイ(Theresa May)首相の顔はほぼ完全に見えない。

 ドイツ政府が公開したこの写真はインターネット上で拡散し、オリジナルと同一の写真、もしくはユーモアや風刺のために加工された写真がソーシャルメディアを飛び交った。

 イタリアのジュセッペ・コンテ(Giuseppe Conte)首相はまだ就任から3日もたっていないことを反映するかのように、写真でも控え目な後ろ姿を見せていた。

 最後にホスト国のカナダは午後2時(日本時間同9時)すぎに、他の首脳らと共に会議室にいるジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相が横から撮影された写真を公開した。この写真は今年のG7議長国であり、また伝統的に平和維持活動に尽力してきたカナダにふさわしく、トランプ氏と他の首脳を対等な存在として公平に捉えている。

 この写真では鋭いが父親のような視線を投げかけているトルドー氏の下で、全首脳が協力して意見の違いを乗り越えようとしているように見える。(c)AFP/Laurence BENHAMOU