パキスタンが熱狂する11歳の「モチベーショナルスピーカー」は本物か?
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【6月12日 AFP】ユーチューブ(YouTube)でバラク・オバマ(Barack Obama)氏のスピーチを見ることで、話し方を改善できる──そう語る人物を囲んで座り、そのレクチャーに聴き入っているのはパキスタンの数百人の大学生たちだ。
エレガントな装いのこのモチべーショナルスピーカー(聴衆を鼓舞するスピーチをする演説家)は、パキスタンのインターネット上でブレークした人物で、彼が行く先々に大勢の人が集まる。
その理由は周りの人を巻き込むような熱意と、魅惑的な笑顔だけではない。ハマド・サフィ(Hammad Safi)君はまだ11歳なのだ。
パキスタン北部ペシャワル(Peshawar)のスポークン・イングリッシュ・アンド・コンピューターサイエンス大学(University of Spoken English & Computer Sciences、USECS)で大人たちを前にワイヤレスマイクを通して話し、慣れた様子で両手を使ってジェスチャーをするサフィ君は自信に満ちあふれている。
この小柄なモチベーショナルコーチは、すでにインターネット上のスターだ。彼のユーチューブチャンネルの登録者は14万5000人。人気の動画は数百万回も再生されている。
「一瞬一瞬が挑戦のチャンスだ」「失敗は成功のための基礎作りだ」──彼のいくつかのアドバイスは極めて古典的だが、聴衆がそれを気にする様子はない。
演説を聴きに来た、サフィ君の倍の年齢の政治学専攻の学生ビラル・カーン(Bilal Khan)さんは、この少年から多大な影響を受けたと語る。「数か月前は自分の人生に本当に落胆していました。仕事も見つからず、何も成功していなくて、自殺を考えていたんです。でも彼の動画を見て、11歳の少年が何でもできるなら、自分だってできるはずだと思うようになったんです」
サフィ君が注目される理由は、その若さと早熟さだけではない。彼はパキスタンのポジティブなイメージを示していると受け取られており、それが聴衆の心に響くのだ。
パキスタンの独立運動に寄与したとされる詩人のアッラーマ・イクバール(Allama Iqbal)について、サフィ君は「もしも彼が存在していなければ、私だけでなく全ての国民が今でも英国人のトイレを掃除していただろう」と語気を強めた。