【6月15日 東方新報】中国・湖南農業科学院(Hunan Academy of Agricultural Science)と湖南ハイブリッド米研究センター(Hunan Hybrid Rice Research Center)によると、中国工程院(Chinese Academy of Engineering)の袁隆平(Yuan Rongping)院士のチームが、アルカリ土壌でのハイブリッド米(海水稲)の全面的な試植を展開するという。技術的な行程表はすでに出来上がっている。袁院士は、「ハイブリッド米の父」として知られる人物。

 地球上の6%以上の陸地は塩化の被害を受けており、可耕地のうち水田の19.5%と畑の2.1%が塩化の被害を受けているという。東南アジアでは、毎年数百万ヘクタールの稲作に適した土地が、塩化被害が原因で放棄されている。気候変動による海面上昇などで、地球上のアルカリ土壌は徐々に拡大している。

「海水稲の研究と、アルカリ土壌での稲作技術の普及は、中国の『藏粮于地(訳:穀物の供給バランスと耕地の合理的活用)、藏粮于技(訳:科学を取り入れた農業)』の実現と、『中国人の茶碗は自分の手の中に』の目標を実現するために有効だ。中国には100万平方キロのアルカリ土壌があるが、そのうち約13万平方キロはハイブリッド米が育つ条件が備わっている。ハイブリッド米の研究は中国での栽培面積の拡大につながり、ベトナムやバングラデシュの耕作放棄地問題の解決にも役立つ」。湖南農業科学院の柏連陽(Bo Lianyang)党委員会書記は、こう語る。

 袁院士は、「センターではハイブリッド海水稲の研究のための十分な準備は行ってきた。また、成熟したベクター構築や遺伝的形質転換、遺伝子診断などの技術システムと、温室や特定網室、実験室などのインフラも完備している。センターでは、耐アルカリ性品種資源の収集や、異なる濃度のアルカリ土壌の水田での栽培実験を実施する予定だ。一定の耐アルカリ性の遺伝質は現在、60種類以上ある。今年はさらに遺伝子組み換え技術を利用し、新たに6種類開発する予定だ」と話している。

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