【6月7日 AFP】米カリフォルニア州で、意識のない女性に性的暴行を加えたとされる名門大学の学生に言い渡した量刑が軽すぎるとして、激しい非難を浴びていた判事が5日、住民投票で罷免された。同州で判事が罷免されるのは1932年以来という。

 中間選挙の予備選と同時に実施された住民投票で罷免されたのは、在職15年のアーロン・パースキー(Aaron Persky)判事。スタンフォード大学(Stanford University)の学生だったブロック・ターナー(Brock Turner)元受刑者が、酩酊(めいてい)状態で意識を失っていた22歳の女性を屋外の大型ごみ容器の裏で性的に暴行したとして有罪判決を受けた2016年の裁判で、同判事が下した量刑が「軽すぎる」として、批判が相次いだ。

 裁判で被告側は、女性とは学生クラブのパーティーで出会い、合意の上で性行為に及んだと主張。量刑言い渡しに際して被害者が12ページにわたる書簡を公開し、被告に対し「私の価値、プライバシー、気力、時間、情愛、自信、私自身の声を、今日まで奪ってきた」と訴えたことで、裁判は世界的な注目を集めた。

 住民投票の結果について、パースキー判事の罷免反対運動に関わってきたサンタクララ郡元判事のラドリス・コーデル(LaDoris Cordell)氏は、「世論に従わなければ、判事たちは職を失う可能性がある」という有権者からの教訓だと、サンフランシスコ・クロニクル(San Francisco Chronicle)紙に述べた。

 一方、罷免を呼び掛けてきた人々は、性犯罪者が罰を免れることはもはやないという明確なメッセージだとしている。罷免運動を主導してきたスタンフォード大のミシェル・ダウバー(Michele Dauber)法律学教授は、「われわれは歴史的瞬間の真っただ中にいる。社会のあらゆる分野の女性たちが立ち上がり、『もうたくさんだ』と声を上げている」と地元メディアに語った。(c)AFP