重度の脳障害残るヌーリ、家族がアヤックスに生涯必要な「高額」の損害賠償求める
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【6月5日 AFP】オランダ・エールディビジ、アヤックス(Ajax)の練習試合中に倒れ、脳に永久的な損傷を負ったアブドゥルハーク・ヌーリ(Abdelhak Nouri)の家族が、生涯にわたる同選手のケアに必要な損害賠償を求めている。同国メディアが4日、伝えた。
オランダ通信(ANP)はヌーリの代理人の話を引用し、アピー(Appie)の愛称を持つ21歳のヌーリが「二度と普通の生活には戻れず、介護と治療に頼ることになる。彼は二度と仕事することはできない」と伝えた。さらに、同日オランダサッカー協会(KNVB)の仲裁委員会に訴訟を起こしているヌーリの家族は、「実質的な損害賠償」を求めており、「その額は数十万ユーロという話ではない」としている。
ヌーリは昨年7月にオーストリアで行われたドイツ・ブンデスリーガ1部のヴェルダー・ブレーメン(Werder Bremen)との試合中、不整脈により突然ピッチに崩れ落ち、同国インスブルック(Innsbruck)の病院に搬送されて集中治療を受けた後、オランダ・アムスデルダムの医療施設に転院した。
代理人経由で発表された家族のコメント文では、ヌーリが「オーストリアで倒れた後、適切な処置を受けていなかった」とされている。また、家族はアヤックスと話し合いを求めているものの、クラブ側は「ありとあらゆる法的責任を否定している」という。
疑問が残っているのは、最初の蘇生措置がどのタイミングで行われていたかという点で、地元日刊紙NRCによると、テレビの映像ではチームドクターが到着してから「少なくとも5分間は行われていなかった」ことが示されていると伝えられた。家族は「一連の処置が正しく適切に実施されていれば」、ヌーリが受けた「深刻な状態」は「回避できた可能性が高い」と主張している。
また、2014年に行われた定期健診で心臓の先天性異常が判明したことについて、KNVB側が把握していたことも報じられているが、協会の医療スタッフが差し障りなしと診断し、家族にも知らされなかったとされている。この診断結果についてはヌーリ本人には伝えられたが、16歳を超えていたために問題はないと判断されたという。
ヌーリは7歳でアヤックスに入団し、若手有望株の一人として期待されていたが、クラブは昨年同選手が「重度で永久的な」の脳障害を負ったことを認めていた。(c)AFP